ブルーラグーン
本日ISPPD最終日。
昼食後のセッション、WHO/UNICEF、GAVI、PneumoADIP、ゲイツ財団など勢ぞろいで行なわれた国際ワクチン政策に関する討論が面白かった。
はっきりいって、現状では、最先端のサイエンスとヒト、モノ、カネを動かす政策決定の関係を支えているのは、個人の情熱とかコネとかいった、きわめて素朴であいまいなものでしかない。
このままでは感染症で死んでいく貧困国の子供たちを救うことができない。
それでいいのか?
こういうことは、自然科学者なんぞが頭を悩ますことではなく、まさに人文科学や社会科学の研究者の仕事だろうと思うのだけど、連中は論文を書いたり問題提起したりすればそれで問題が解決すると思っているのでさっぱり役に立たない。
また機会があればまとめて書きます。
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飛行機が出るまで時間があるので、同僚と一緒にブルーラグーンへ。
アイスランドに来た以上、せっかくなので。
結構、気持ちよかった。
レイキャビクの本屋
会議も3日目が終了。夕食会があるとのことだが、それには参加せず、街中を歩いてみる。
向かいからアフリカ系のお兄さんが携帯で話しながら歩いてきて、すれ違いざま、「○○通りってどこ?」と聞いてきた。
知らんねと答えると、使えないやつだなという顔で首を振りながらそのまま歩いていった。
そりゃ人を肌の色で判断してはいけないが、こんなところを歩いているモンゴロイドは道案内の役に立たなくて当たり前だ*1。
とはいえ、彼も他に選択肢がなかったのだろう。
実際、道を歩いていてもほとんど人とすれ違わない。
家はたくさんあるし、車も相当数走っているのだが、人気が全くない。
かろうじて海岸通から一本入った繁華街までいくと、少しは人が歩いているが、それもまばらである。
そこで本屋を見つけたので立ち寄ってみる。
アイスランド語のコーナーより英語のコーナーのほうが広い。
アイスランドの第一言語はアイスランド語だが、国民の大半が英語を話す。
いちいち母国語に訳す必要もないということか。
というわけで、並んでいる本にもさして特徴はない。
日本の作家では、例のごとく村上春樹だけが大量に並んでいる。
あとはマンガが少し。
もう10時過ぎで閉店だということで追い出された。
通りをよっぱらいが歩き回っている。
繁華街でこの時間なのだから当たり前なのだが、いかんせん白夜で明るいので、昼間から酒を飲んでいるように見える。
結局、4時間くらい歩き回ってゲストハウスに戻った。
*1:と思って調べてみたら、フィリピン人、タイ人、中国人などが2000人弱住んでいるらしい。ちなみに全人口は30万人ちょっと。
ISPPD(その2)
フィンランドのチームがフィリピンで行なった肺炎球菌ワクチン(PCV)の研究のポスター。
誰だか知らないが、張り紙が。
「PCVのプラセボ*1だって?もうとっくの昔に効果が証明されているだろ。倫理的に問題あり。」と。
まあそうだけど。
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非常に話がうまい。
「ではこの問題をどうするか?私が友人に聞いてみたところ・・・」と言って、米ブッシュ大統領の写真が大写しになったところで会場は爆笑。
だいたいリベラルな人間が多いヨーロッパ人研究者を狙った自虐的ギャグ。
同行のベトナム人研究者はきょとんとしていた。
それよりベドウィンの子供から集めた大量のサンプルのデータとか出していたけど、あれをどうやって集めたのかに興味がある。
*1:ワクチンの効果を調べるために、本物を投与したグループと偽薬を投与したグループで比較している。
ISPPD
今回、私が参加しているISPPDというのは、肺炎球菌に関する国際会議である。
医療関係以外の方のためにいちおう言っておくと、肺炎球菌というのは細菌のひとつで、肺炎、髄膜炎、敗血症といった重症の病気をひきおこす。
とくに世界中の5歳未満の子供の死因の第一位が肺炎であり、さらにその原因の第一位が肺炎球菌であることから、これを効果的に予防、検査、治療する方法を開発することは国際保健的に重要な課題なのである*1。
まだ6回目ということもあって、それほど大規模ではないけれど、1000人以上の希望者がいたが、参加が認められたのは8割程度らしい。
注目されつつある会議というわけだ。
私は昼に、Symposium2. Pneumococcal pneumonia in developing countriesというセッションで口頭発表し、早々に役目を果たした。
それなりに質問もあったし、発表後に見知らぬ人何人かに声をかけられたので、まあよしとしよう。
*1:もちろん、高齢者医療にとってもすごく重要なのだが、医学的に細かい話はここではいいでしょう。