大晦日もさしせまり、いよいよ年の瀬といいたいところだが、まったくその気配がない。それもそのはずで、ベトナムはテト(旧正月)こそが由緒正しい年始だからである。確かに1月1日は祝日だが、病院にせよ衛生局にせよ、12月31日も1月2日も通常業務で、職場も限りなく単なる一祝日という雰囲気である。要するに、年越しの「特別感」に乏しい。もちろん、欧米化がすすんだいま、サイゴンでは人民委員会主催の大規模な年末年始イベントが開催されたり、ニャチャンでも海岸でカウントダウン行事があったりはするのだが、やはりテト前に比べると、街のあわただしさや盛り上がりに欠ける。それでも去年は、私の勤務が日本のカレンダーに従っていたから、年末年始の連休があり、家族でヴィンパールに泊まりに行ったりと、個人的にはそれなりに「特別感」があった。しかし、今年からはベトナムのカレンダーに従うことになったうえに、ビザ更新のためにパスポートが手元にないので遠出もできず、言われなければ明日が大晦日ということすら忘れてしまいそうである。
 今日は、何とかその「特別感」を出そうと、家族でグラスボート・ツアーに出かけたのだが、あいにく天気が悪く、船が揺れるうえに魚も見えず、すっかり疲れて帰ってきた。無理はせず、テトの盛り上がりを待ったほうがよさそうである。