ニャチャンにきて、約4週間がたった。来週、いったん日本に戻り、9月はじめに家族連れで戻ってくる予定である。今後の準備をするにあたって、これまでの経験から有用と思われる情報をまとめておく。

天候と生活時間
 天気予報では、25〜33℃となっている。朝は8時過ぎから強い日差しが照りつける。仕事は7時過ぎから始まり、11時半から午後2時までが昼休みになる。公共施設や多くの商店はシャッターを下ろしてしまうが、一部はやっているところもある。食堂はやっている。紫外線が強く、日中は外を少し歩くだけでも疲れる。午後4時過ぎくらいから日差しは弱まり、仕事の終わる5時前くらいから、海に向かう人たちが増える。日が落ちてからは、比較的過ごしやすい。とはいえ、風通しが悪いところでは、汗がにじむ。

住居
 家の周囲は住宅街で、比較的、新しい家が並んでいる。隣の家は、現在、工事中である。当然ながら、ご近所は現地の人で、外国人は見かけない。
 家は4LDKで、部屋の広さは申し分ない。庭に面した部屋以外は、日照が悪く、日中でも薄暗い。しかし、熱帯で日中、室内に日光が入るのは、暑苦しいだけで、何もいいことはない。実際、昼の炎天下でも、室内は扇風機だけで問題なく過ごせる。庭に面した部屋は、広い窓が3つあり、明るい。玄関以外にこの部屋からも出入りできる。
 家のセキュリティーは、大変厳重である。通りに面しては、鉄条網を巻いた鉄柵、両隣の家との間は金網である。門は重い金属製で、大きな錠前が、内側に向かって下がっている。門の狭い隙間から手を入れて、この錠前をあけるのは一苦労である。また、玄関は通常の鍵以外に、錠前が2つ下がっている。これは、お掃除のカンさんがつけていったものである。カンさんの旦那からは、夜は内側から鉄棒で戸を固定しろといわれている。カンさんたちが戸締りをうるさく言うのは、私が外国人だからと思ってのことなのかもしれないが、近所や、その他の住宅地を観察してみると、やはり厳重に戸締りをしている。感覚がつかめるまでは、カンさんの言うとおりにしておこうと思うが、室内のぶんも含めて鍵が10個もあり、大変めんどくさい。
 庭があるのは、子供を連れて生活するには嬉しい限りである。ただ、木や盆栽が沢山あって、その枝葉や花びらが落ちて掃除が大変である。いまは、カンさんがやってくれるので、これは問題ない。問題は池である。趣味のよくない白い観音像の下に池があり、電源を入れると水が滝のように流れる。どう考えても、蚊を発生させる以上の意義を持たない。水だけでも抜くよう、ベトさんと相談したほうがよいかもしれない。
 まだ、蚊帳は買っていない。いまのところ、室内でそれほど蚊に困ることはない。ただ、デング予防のためには、蚊帳をつけなくてはならない。壁にヤモリがいる。家の中でネズミをみたことはないが、街中でときどき見かけるので、室内に生ものを放置しないよう注意したほうがいいだろう。
 家具は、備え付けのエアコン1つ、壁付けの扇風機3つ、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、浄水器、ベッド、扇風機、プラスチック椅子2つがある。もうひとつ、床敷き用マットレスと寝具一式がある。台所用品は、ナイフ、フォーク、箸、スプーン、皿、どんぶり、大小の鍋がひとつずつ。あとは家族がそろってから買い揃えればよいだろう。
 苦労の末、電話とADSL回線は使えるようになった。

買い物
食品
 家の前の通りを少し歩くと、露店の市場がある。肉、魚、卵、野菜などの生鮮食品から、水やジュースも売っている。その周囲には、小さな電器屋、CDショップなどもある。日々の食材を入手するには、ここで問題ないだろう。ただ、露店に並べられた肉の鮮度は、やや心配である。
 エルシン通りとリータイントン通りの交差するところに、唯一のスーパーマーケット、マキシマークがある。2階建てで、1階は食材、生活用品、酒類、2階は衣類、時計などを売っている。日本のスーパーマーケットにひけをとらない品揃えで、家具、家電以外のものなら、ほとんどはここで買えると思う。ただ、生鮮食品はあまり多くない。日本食に関して言えば、豆腐、韓国製の醤油、韓国海苔シンガポール製日本茶の缶はあるが、カレーのルー、味噌はない。
 グエンチャイ通り沿いに、美味しそうなパン屋がある。

家具
 ダム市場、ソム・モイ市場とその周辺、トンニャット通りに、家具屋、寝具屋がある。当然ながら値札はまったくないので、交渉次第。市人民委員会の近くの寝具屋は、はじめから妥当な値を提示するので、好感がもてる。

家電
 チェンタン広場の周囲に、大きな家電屋が2軒ある。品揃えが豊富で、値札がついているのがいい。その他にも、街中のいたるところに小さな家電屋があり、クーラー、扇風機、テレビ、ステレオなどが買える。しかし、店を選ばないと、ふっかけられる。

電話
 携帯電話ショップは街中のいたるころにある。

コンピューター関係
 家電屋は一切、コンピューター関係の製品を扱っていない。トンニャット通りに、THニャチャンというコンピューターショップがある。それほど大きくはないが、多少は英語が通じるので、いろいろ相談できるのがいい。ただ、コンピューター関連の製品は、他のものに比べて、割安感が乏しい。

食堂、レストラン
 街中のいたるところに食堂があり、食事時は人であふれている。ベトナム料理は、多くの食材を使い、種類も豊富であり、少なくとも日本人にとっては飽きのこない味と思われる。ただ、家の近くにはあまり食堂がないので、ソム・モイ市場か、東のチャンフード通り近くまで行かなければならない。
 ニャチャンはシーフードが有名であり、ニャチャン・シーフード、トゥルックリンといったレストランがある。これらは少し高いが、確かに美味しい。
 イタリア料理、メキシコ料理、インド料理、日本料理などのレストランは、フン・ヴォン通りなど、南のツーリストエリアにある。地元の食堂に比べると遥かに高いが、それでもスパゲティ・ボロネーゼが50,000〜55,000VSDくらいだから、先進国の相場に比べれば安いだろう。

娯楽
 ニャチャンの最大の娯楽は、海である。早朝と夕方、海岸にはおびただしい数の地元民が集まってくる。真昼の炎天下に海岸にいるのは、ツーリストの白人だけである。夕方、仕事が終わってから海岸でゆっくりするのはとても気持ちがいい。ただ泳ぐには、波は結構高く、すぐに深くなるので注意が必要である。小さな子供は、救命胴衣を着けて海に入っている。
 他には、サンライズホテルのロビー、プールでゆっくりするのもいいかもしれない。サンライズホテルのロビー、カンホア総合病院の傍のクアンチュン通りの喫茶店は、無線LANが使い放題である。
 トンニャット通りと、ヤサカ・サイゴンホテルの裏通りに映画館がある。前者では『キングコング』を上映していた。まだ中に入ったことはない。『地球の歩き方ベトナム』には、グエンチャイ通りにも映画館があるという表示があるが、私はみたことがない。
 観光客なら、ボートトリップやダイビングができるが、小さな子供を連れて生活しているものが、そうたびたびできるもではない。どこかすごしやすいところでゆっくりする以外にないだろう。

移動
 家は、メインの通りからは離れているので、静かで安全である。しかし、北のダム市場やトンニャット通り、東の海岸やツーリストエリアからは2kmくらい離れている。自転車で15分くらいなので、一人で行くには問題ないが、子連れで行くのは無理である。子供を自転車に乗せて走っている姿も見るが、この交通事情では、とても危なくてできない。もちろん、バイクタクシーなど論外である。結局、タクシーを使うしかないだろう。
 タクシーは、電話番号817817のデラックスタクシーがよいと思う。車が新しいし、運転手の対応もいい。他に、811811、521521などがある。ダム市場くらいまでなら、18,000〜20,000VSDくらいか。安全を考えれば、高くはない。自宅からタクシーを呼ぶときの問題は、住所を正確に発音できるかどうかである。
 ちなみに、通り沿いに停めてあるバイクに腰掛けているおじさんは、すべてバイクタクシーである。『地球の歩き方ベトナム』には、1kmで3,000VSDが目安と書いてある。乗る前に、オフィスから家までの約2kmを10,000VSDと言えば、素直に頷いてくれる。ツーリストエリアで声をかけてくる連中は、たいてい最初に50,000VSDとふっかけてくる。無視して立ち去ろうとすると、少しずつ相場に近づいていく。行き先は住所を書いたものを見せれば、だいたいはわかるが、途中で他のバイクタクシーに行き先を確認することがある。スピードはそれほど出さない。これまで、スピードメーターの機能しているバイクに乗ったことがないが、おそらく時速30kmくらいだろう。ただ信号なし、ヘルメットなし、一方通行の標識無視でバイクの波の中に入り込んでいくので、いつ事故に遭ってもおかしくない。事実、ベトナムの交通事故は多いし、小さな接触事故なら毎日見かける。基本的には使わないほうがいいだろう。
 他にシクロも見かけるが、あまり有用性を感じないので使ったことはない。観光客が乗っていることが多いが、時々、地元のお年寄りが乗っているのを見かける。