レイキャビクへ

月曜日からアイスランドのレイキャビクで開催されるISPPD−6という肺炎球菌に関する国際シンポジウムで発表するため、今日の午後、ニャチャンを出発の予定。サイゴン、パリ経由で、乗り継ぎも含めると、片道30時間。しかし、こんな熱帯からいきなり北極…

イラワジ川の<3時間>

職業柄、他人の体験した話を聞く機会が結構ある。多くの場合、そうしたエピソードを想像で追体験することは可能である。 指先に怪我をした高齢の男性がいた。理由を聞くと「家で親子げんかして、子供(成人)に噛まれた」らしい。いい歳して年老いた親を噛む…

ミャンマーと思いきやアイスランドに

ミャンマーのサイクロン被災の件。 25日のヤンゴンの会議をうけて、各方面ともに、少しずつ動き出している模様。私のところにも研究所と某NGOから、派遣の際の意思確認の連絡が入った。こういうとき、ちょっと冷静に考えなくてはいけない。世間ではあまり認…

柄谷行人にウナギをおごってもらった話

4ヶ月ほど前に、柄谷行人に会った。 今年の1月、大阪で開かれるアジア感染症フォーラムに参加するため、半年ぶりに一時帰国した。発表を終えたその日の夜、私は関西空港の隣にあるホテル日航の部屋で、ひとり缶ビールを飲みながら、ソウルの研究所とメールで…

私は一個の<プチ・サルトル>である

総表現社会という言葉がある。 検索すると、梅田望夫の『Web進化論』という本で出てきた言葉らしい。読んでいないからよく知らないが、たぶん、インターネットや携帯電話の発達によって実現される、誰もが簡単に自分を表現できる社会というような意味だろう…

サイクロン

このところニャチャンでは、毎日、夕方になると激しいスコールです。自宅の雨漏りが気になるところ。 ミャンマーのサイクロン被害ですが、ようやく軍事政権側が、ASEANを窓口として支援物資や人員を受け入れることで合意したようですね。25日にはヤンゴンで…

カンホア障害児センター

ゲストが来て慌しい日が続いていましたが、ようやくひと段落です。 おとといは、障害をもった子供のスクリーニングとフォローアップの現状を調査するために、ニャチャン市内にあるカンホア障害児センターに行ってきました。自宅の近くにあるので、よく前を通…

ニャチャンに戻りました

中国四川省の地震では大きな被害が出ているようですね。タイやベトナムでも揺れたという報道もありますが、さすがに南部のサイゴンでは揺れませんでした。 こちらも情報を追っていきます。

サイゴンより

またサイゴンです。 もうすっかりこの街にも慣れました。だいたいのところなら、地図なしで行けます。今日はドンコイ通りの近くにある、マイホテルに泊まる予定。 熱帯研究所から、ミャンマーに災害派遣するかもしれないからスタンバイせよ、という指令がき…

サルトルの世紀作者: ベルナール=アンリレヴィ,Bernard‐Henri L´evy,石崎晴己,三宅京子,沢田直,黒川学出版社/メーカー: 藤原書店発売日: 2005/06メディア: 単行本 クリック: 6回この商品を含むブログ (15件) を見る サルトル関係の書物を紹介する以上、この…

サルトル (文庫クセジュ)作者: アニーコーエン=ソラル,Annie Cohen‐Solal,石崎晴己出版社/メーカー: 白水社発売日: 2006/05/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 1回この商品を含むブログ (5件) を見る アニー・コーエン=ソラルは、『伝記サルトル』の著者…

サルトル関連の書籍をいくつか紹介する。もとよりすべてを網羅することは不可能だし、そのつもりもないので、たまたま手元にあるものだけをとりあげる。 サルトル 21世紀の思想家―国際シンポジウム記録論集作者: 石崎晴己,澤田直出版社/メーカー: 思潮社発売…

サルトル関連のウェブサイト 仏サルトル研究会 日本サルトル学会 United Kingdom Society for Sartrean Studies www.sartre.org Stanford Encyclopedia of Philosophy:Jean-Paul Sartre サルトルの作品 上記の仏サルトル研究会のリンク集によくまとめられて…

サルトルに関係する文献、映像で、ウェブ上で閲覧できるものを中心にアトランダムにとりあげてみる。ただし、私はフランス語ができないので、英語か日本語のもののみ。 Jean-Paul Sartre: The Road to Freedom (1999) 英BBCが1999年に作製したドキュメンタリ…

ようやくレイキャビクから連絡あり。諸準備。

トランスクリティークとポストモダン

ポスト・モダンな言説の「嵐」は、すでに少数の学者・批評家の範囲をこえて吹きまくっている。私自身の書いたものがその原因の一端であるといわれるかもしれないが、そのような「光景」は私と根本的に無縁である。というよりも、私はそのように反復される「…

(2)

『思想地図』が出版されるようである。予告どおり、ここに完成稿を公開する。もとより勝手な「挑戦」であるから、その結果については読む方の判断にゆだねたい。 「トランスクリティークとポストモダン」 なお、これまでいささか冗長な「草稿」を公開してき…

柄谷行人を読む(38)補論II:「日本ポストモダニズムの<起源>:柄谷行人、浅田彰、東浩紀」後編

柄谷は自己言及的な形式体系を問うことをやめた。しかし、この問いは東浩紀の『存在論的、郵便的:ジャック・デリダについて』によって反復されることになる。より洗練されたかたちで。 本書で東は論理的‐存在論的脱構築と郵便的‐精神分析的脱構築という2つ…

柄谷行人を読む(37)補論II:「日本ポストモダニズムの<起源>:柄谷行人、浅田彰、東浩紀」前編

柄谷行人の「言語・数・貨幣」は、第二章から唐突に議論の様相が変化する。この論稿は、「内省と遡行」(1980年)以降の柄谷の試みの集大成となるべく、1983年4月から雑誌「海」に連載がはじまった。しかし、その議論は途中から動揺し、同10月には未完のまま…

柄谷行人を読む(36)補論I:自己言及のパラドックスについて

柄谷行人の「形式化」について 柄谷行人は「内省と遡行」から「言語・数・貨幣」に至る論稿において、言明による自己言及的な形式体系について論じた。それは言明において理論と現実の隔たりを解消する試みであった。しかし、柄谷自身は形式化を行っておらず…

柄谷行人を読む(35)<切断I>

さて、大変長い道のりでしたが、ここまでで前期柄谷の論稿群の読解は終わりです。すでに繰り返し確認したように、前期柄谷は、実存と社会の対立からはじまり(『畏怖する人間』)、その対立が理論と現実の隔たりに基づくものであることを見出し(『意味とい…

柄谷行人を読む(34)『内省と遡行』『隠喩としての建築』

以上で「形式化」期の4つの論稿は終わりです。あらためて、その議論を振り返ってみましょう。 まず「内省と遡行」で、意識と対象の成立を問うことが、下向というひとつの過程に還元されます。そして下向に対して、下向の果てに再び意識と対象に戻る過程が上…

柄谷行人を読む(33)『内省と遡行』『隠喩としての建築』

要約:「言語・数・貨幣」序章 基礎論 形式化は第一に自然・知覚・指示対象から乖離することで人工的・自律的な世界を構築しようとすることであり、第二に、指示対象・意味・文脈を括弧にいれて、意味のない任意の記号の関係の体系と一定の変形規則をみよう…

柄谷行人を読む(32)『内省と遡行』『隠喩としての建築』

続いて「隠喩としての建築」と「形式化の諸問題」です。「隠喩としての建築」は「群像」に1981年1月から8月まで連載された論稿です。5つの章から構成されていますが、内容的には第二章までの前半部と、第三章以降の後半部に分けることができます*1。もう一方…

柄谷行人を読む(31)『内省と遡行』『隠喩としての建築』

それでは「形式化」期の4つの論稿をひとつひとつ読み解いていくことにしましょう。ただし、すでに述べたように、「形式化」期全体を通じて同じ事柄が何度も繰り返し論じられているので、ここでは各論稿の全体像を把握することに主眼をおきます。それにともな…

柄谷行人を読む(30)『内省と遡行』『隠喩としての建築』

今回の読解は『内省と遡行』と『隠喩としての建築』です*1。これまでと違って今回は同時に2冊を読むことになりますが、それには理由があります。 両者は出版年だけを比較すれば、『内省と遡行』が1985年、『隠喩としての建築』が1983年ですから、単行本とし…

柄谷行人を読む(29)方法論的批評としての批評的還元

方法論的批評の方法というものを、あえてひとことで表現するとすれば、それは対象を<批評>の対象に還元する手順ということになるでしょう。対象を対象に還元する、というのは同語反復(<批評>の対象は<批評>の対象である)のようにも聞こえますが、そ…

柄谷行人を読む(28)方法論的批評としての批評的還元

『内省と遡行』および『隠喩としての建築』の読解に移る前に、ここであらためて本草稿の方法論について確認しておくことにします。最初に私は本草稿において、柄谷の一連の著作が、1) 言明としての思考を読解する作業が、2) 2つの切断をはさんで継続されてい…

暑い。もう3回目の夏だが、慣れようがない。日中はできるだけ屋外に出ないようにするだけである。 小児科病棟にギャッジアップ可能なベッドが5台ほど運び込まれている。ICUにも見慣れない中古のEvitaのventilatorが置いてある。例のドイツのNGOが寄贈したも…

季節外れの大雨で夜中に自宅で雨漏り。 ルイジアナに日本食メニューが出現し、ピザコーナーだったところが、寿司カウンターになっている。昨日、オープンしたばかりらしい。板前は若いベトナム人で、日本語が堪能。ホーチミンのルネッサンス・リバーサイドで…